WWEの人気レスラー、「反逆のカリスマ」こと、CMパンクの妻で、2015年に引退したAJリーが10年ぶりに復帰し、TOPPS社のオンデマンドカード「TOPPS NOW」でも変わらぬ姿がトレーディングカードになった。

9月5日の「スマックダウン」が故郷のシカゴで開催されたこともあり、「ロウ」に所属するCMパンクが登場。犬猿の仲のWWE世界ヘビー級王者のセス・ロリンズとの抗争を繰り広げる中、前回の「ロウ」ではロリンズの妻で、女子インターコンチネンタル（IC）王者のベッキー・リンチにリング上で罵倒されたが、この日は何度も頬を平手打ちされた。

パンクは8月31日のPLE（プレミアムライブイベント）「クラッシュ・イン・パリ」での、世界ヘビー級王座フェイタル4WAY戦タイトルマッチで、勝利寸前、乱入したベッキーに急所を攻撃され、ロリンズに敗戦した。

ベッキーの執拗なビンタと「シカゴの恥め！」という口撃にリング下に避難したパンク。「会場にいるみんなは、オレが女性を絶対に殴らないことを知ってる。だから、オマエを殴れるヤツを連れてきた」と言うと、AJリーの登場曲「レッツ・ライト・イット・アップ」が会場に響き渡った。

2009年にWWEにデビューして以来、キュートなキャラクターとルックスで「ディーバ時代」に人気者になった。 チャンピオンベルトを3度、獲得するなど実力もあり、2010年代前半の女子戦線で活躍した。 WWEを退団したパンクと2014年に結婚。 2015年4月に首を痛め、引退。引退後は多彩な才能を発揮し、作家や脚本家として成功していた。

10年前と変わらぬプロポーション、バキバキの腹筋で復活したAJリーに会場は大熱狂。 パンクVSベッキーの抗争が激化する中、ユニバース（WWEファン）は、叶わぬ夢と知りながら各会場で「AJリー」チャント（コール）を続けていた。伝説のディーバは、代名詞でもある軽快なスキップでリングの下を一周した後、リングイン。唖然とする素振りで油断させたベッキーが襲いかかったが、 スピアーで迎撃し馬乗りになってパンチを浴びせた。さらに、リング外に逃げようとするベッキーの髪をつかんで、マットに叩きつけ、再び「ルーテーズプレス」（フライングボディーシザース）で馬乗りになり、パンチ連打。 最後は、夫の仕返しに強烈な張り手を浴びせ、ベッキーは退散した。

観客席の最上段から、高みの見物を決め込んでいたロリンズも、リング下に降りてきて、ベッキーを抱えて退場。明暗を分けるように、リング上では一瞬、見つめ合った後、パンクとAJリーが抱きついてキス。現役時代と同じキレキレの動きを見せたAJリーの復活をあらためて、会場は大歓声で祝福した。

WWEのCCO（最高コンテンツ責任者）のトリプルＨは自身のSNSに、パンクとAJリーとの3ショットとともに「いつでも帰ってこられるよ… お帰り、AJリー！」と記し、続いて控室でＡＪリーと新しい契約書にサインを交わしている動画も投稿。 AJリーのベッキーの王座挑戦だけでなく、次回のPLE「レッスルパルーザ」（9月20日・インディアナポリス）での、パンク＆AJリー vs ロリンズ＆ベッキーの「最強夫婦決定戦」も浮上してきた。

この日は第1試合の王者サミー・ゼインと、挑戦者ジョン・シナの男子ICタイトルマッチで、復活したブロック・レスナーがPLE「サマースラム」に続き乱入して試合をぶち壊したが、最後にはユニバースにとってはうれしい「大乱入」となった。

まさかのAJリーの復活に、インターネットオークション「ebay」ではかつて、発売されたトレカの出品が相次いだ。MINTモールでは「2015 TOPPS」のサインカードが60,000円で販売されている。そして、「TOPPS NOW」では、入場口に現れ10年前と変わらぬ姿を披露したAJリーのカードが早速、作られた。AJリーはTOPPS社がトレカの制作・販売の権利を取り戻した昨年、発売された「TOPPS CHROME」にも「レジェンド枠」でも収録されなかっただけに、10年ぶりのトレカになるこの1枚は特別。AJリーの今後を占う意味でも大きな価値がありそうだ。

Cove（ライター）
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。ボブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター（自称）。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。