BBM「ルーキーエディション」が発売になった。当たり前ながらルーキーカードは人気がある。ルーキーカードの定義は、今年のTOPPS「Bowman’s Best」のワンダー・フランコのカードで話題を集めたが、新人選手のルーキーカードはとりわけ、いい。NPBでは長嶋茂雄さん（現巨人軍終身名誉監督）ら、多くの選手がルーキーイヤーから人気が高かったが、かつて、人気球団のジャイアンツ以外のチームで注目された新人選手がいた。
山下大輔さんである。
慶応大の遊撃手として活躍し、神宮の杜を沸かせた。東京六大学リーグでは通算打率.325、11本塁打、50打点。1973年のドラフト会議では、大洋ホエールズがいの一番で1位指名。キャンプ地の静岡出身でもある待望のスター選手の獲得に、球団では、ユニホームを静岡の名産品であるみかん（オレンジ）とお茶（グリーン）にちなんだ色に変えて、山下さんを歓迎したという逸話も残っているほど。ひとりのルーキーがプロチームのユニホームを変えてしまうなど前代未聞の出来事だった。
2年目は背番号を20から1に変更し、遊撃のレギュラーに定着。新たに加入した、MLBの守備の名手だったクリス・ボイヤーから教えを請い、自慢の守備力に磨きがかかり、3年目の76年から遊撃手として8年連続でダイヤモンドグラブ賞を受賞。遊撃手での8年連続、ならびに8度の同賞受賞は歴代最長、最多記録として今でもNPBの記録として残っている。
1987年まで14年間にわたり、ホエールズひと筋でプレーしたフランチャイズプレーヤーは引退後に横浜で監督も務め、球団史にその名を残した。
山下さんの名手ぶりを実感したことがある。横浜ベイスターズの元監督だった権藤博さんがパプアニューギニアに野球を教えに行くという機会があり、権藤さんの下、ヘッドコーチを務めていた山下さんとともに同行した。ボクが所属していたスポーツ紙の評論家をしていただいていたこともあり、世話役として声をかけていただいたのだが、教えるのは3人。当然、ボクもグラブをはめて手伝わなければ、ならなかった。
パプアニューギニアはソフトボールは普及していたため、ルールは理解してもらえた。権藤さんがノックして、遊撃で山下さんが捕球と送球を教える。一塁で送球を受けるのはボクである。はだしで、アソコに動物のツノをつけているような野生的な人々もいる国。送球に遠慮がない。めちゃくちゃ、全力で悪送球を投げてくる。体はあざだらけになったが、山下さんの見本の送球だけは、構えたグラブに吸い込まれるようにピタリ。しかも、優しく痛みも感じなかった。
そんな山下さんのトレカである。オレンジとグリーンのユニホーム。自慢の守備の写真を使ったエポック「2021 横浜DeNAベイスターズ STARS & LEGENDS」の30枚限定 LEGENDARY AUTOGRAPHは名手ぶりが伝わってくる。バットを手にしたBBM「2021 FUSION 」の89枚限定直筆サインカードは、山下さんのさわやかなプレースタイルが伝わってくる。
エポック「2021 横浜DeNAベイスターズ STARS & LEGENDS」の30枚限定 LEGENDARY AUTOGRAPH（MINT LAB TOKYO）
BBM「2021 FUSION 」の89枚限定直筆サインカード（MINT池袋店）
Cove(ライター）
元スポーツ紙ライター。ロッテ、日本ハム、西武、横浜の担当記者として取材し、MLBドジャース、ヤンキースも追いかけた。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。日本唯一（自称）のバブルヘッドライター。トレカはレギュラーカードのコンプリと日本人メジャーが中心。
