MLBではワールドシリーズが行われ、NBAが開幕する10月下旬。NFLは第8週を終えてレギュラーシーズンの折り返しが見えてきました。
「今年のドラフトは不作」とも言われた2025年組からも、すでにチームの中心選手として活躍しているルーキーが複数います。トレーディングカードの世界でもルーキーカードの注目が上がる時期を迎えており、すでにルーキーのNFL版のカードが収録されている商品の発売も進んでいます。
今回の記事ではドラフト時の指名順位や現在のトレーディングカードの価値は関係なく、1年目から結果を残し、存在感を放っているルーキー7人をご紹介します。
まだ全国的に注目を浴びていない選手でも、今後さらに有名になる可能性も秘めているので、ぜひNFLをあまり知らない方にも読んでいただきたいです。
■ジャクソン・ダート(QB・ニューヨーク・ジャイアンツ)

ニューヨーク・ジャイアンツの新人QB、ジャクソン・ダートは、2025年NFLドラフトで1巡指名された2人のQBのうちの1人です。全体1位で指名されたキャム・ワードはチームが大不調でなかなか成績が上がらずにもがいていますが、ダートはチームが0勝3敗になったタイミングで先発に指名されると、そこからは昨季の王者イーグルスを撃破するなど2勝3敗。ランパスの両方で相手にプレッシャーをかけられ、若さ溢れるプレーでチームを鼓舞しています。
チームはエースWRのマリク・ネイバーズを怪我で欠いていますが、2011年以降地区優勝のないチームに光を与える存在となりそうです。ちなみに彼のサインカードはPaniniには未収録ですが、LEAF COLLECTIVE 2024などには収録されています。
■エメカ・エブカ(WR・タンパベイ・バッカニアーズ)

オハイオ州立大学から1巡19位という好順位でWRとしては3番目に指名された選手です。オハイオ州立大学からは過去4年で5人のWRが1巡で指名されており、実は来年と再来年も1巡で指名される候補が控えているWR製造大学、いわゆるWRUとして名を馳せています。
大学時代からテクニックの高さに定評のあったエブカですが、今季は開幕戦から2TDの活躍を見せると、フィラデルフィア・イーグルス戦では77ヤードのTDを記録してキャリア初の100ヤードゲームを達成。その後もコンスタントな活躍で、第8週終了時点で562ヤード・5TDの成績を残しています。バッカニアーズは6勝2敗でNFC南地区をリードしており、エースWRマイク・エバンスを怪我で欠く中、ルーキーのエブカがエース級の役割を引き継いでいます。
■オロンデ・ガズデン 2世(TE・ロサンゼルス・チャージャーズ)

第6週からの3試合で19レシーブ・309ヤード・2TDという大爆発で、ルーキーの注目株に躍り出ました。ルーキーで3試合で300ヤードを記録したTEは史上3人目とのこと。TEの中ではスピーディーでキャッチ力が高く、パスゲームで活躍できる選手です。シラキュース大の2年次に975ヤードを記録し注目を受けていましたが、3年次は怪我でほぼ全休。4年次に成績は戻りましたが、ブロック能力の低さもありドラフトの順位はそこまで高くはなりませんでした。しかし、その弱点もプロ入り後に改善へと向かっているようです。ちなみに父親はマイアミ・ドルフィンズで活躍したWRで通算3,252ヤード、22TDを記録しています。
■タイラー・ウォーレン(TE・インディアナポリス・コルツ)

ドラフト時にはトップTEとの評価も多かった選手で、大学4年次には最優秀TEに贈られるジョン・マッキー賞も受賞。1巡14位でインディアナポリス・コルツに指名されました。ガズデンが直近3試合で爆発している中、開幕からコンスタントに成績を稼ぎ、第8週終了時点で492ヤード・3TDの成績を残しています。この成績はNFL全体のTEとしてもトップの成績で、AFCで7勝1敗と最高成績を誇るコルツでのリーディングレシーバーともなっており、チームの躍進を支えています。
■クインション・ジャドキンス(RB・クリーブランド・ブラウンズ)

ドラフト時のRBの話題は、ラスベガス・レイダースから1巡6位で指名されたアシュトン・ジェンティで持ちきりでしたが、第8週終了時点で最も活躍しているのが2巡36位で指名されたジャドキンスです。シーズン前の7月にDVの容疑で逮捕され、その影響でチームと契約したのが開幕2日前とゴタゴタでシーズンを迎えましたが、2週目からの出場で現在は486ヤード・2TDでNFL全体でも15位のラッシングヤードと素晴らしいルーキーシーズンを送っています。
■カーソン・シュウェシンガー(LB・クリーブランド・ブラウンズ)

高校時代は無名の選手から奨学金なしでUCLAへ進学。大学4年目の1シーズンのみで選手として開花し、AP通信のファーストチームオールアメリカンに選ばれました。
ドラフト2巡目の最上位でNFL入りを果たし、シーズン開幕から安定した活躍を見せています。次なるNFLのタックルマシーン候補で、64タックルはNFL全体で11位の好成績。大きな怪我さえしなければNFLを代表するLBになる素質があります。
■トラビス・ハンター(WR/CB・ジャクソンビル・ジャガーズ)

ジャクソンビル・ジャガーズのトラビス・ハンターは、2025年ドラフト全体2位という超目玉で、「二刀流」として大学時代から全米を熱狂させてきた選手です。高校時代から史上最高クラスのリクルートと言われ、ディオン・サンダースHCのもとでジャクソン州立大学、続いてコロラド大学でWRとCBを両方フルタイムでこなし、1試合で100スナップ近くプレーしたことでも知られます。オフェンスではトップクラスのWRとして、ディフェンスではエースCBという、現代ではほとんど存在しない役割を同時に担ってきました。

そのトラビス・ハンターはプロでも二刀流に挑戦。第8週終了時点でオフェンスでは298ヤード・1TD、ディフェンスでは15タックル・3パスディフレクションと数字だけを見るとまずまずの成績を残ししています。一方で、オフェンスでは直近の試合でキャリア初となる100ヤードゲームを記録し、出場スナップ数も増えており、今後はオフェンスに比重が置かれることも予想されています。ここから残り半分のシーズンでどこまで成績を残せるのかが引き続き楽しみな存在です。トレーディングカードの観点だと、Paniniの2025年版にはサインカード含めてすべてに収録されています。
今回は7人の注目選手をご紹介しましたが、現時点では今年の新人のトップ選手はまだ決まっておらず、ここから記事に紹介していない選手が捲ってくる可能性も十分にあります。今年のルーキーの成績はまたシーズン終了後に振り返るとして、次回はカレッジフットボールの世代問わない将来のトップスター候補をご紹介したいと思います。
文:Tamago
国内のNFLファンコミュニティでも一目置かれる存在で、特にカレッジフットボールの知識に関しては「日本随一」との呼び声も高く、毎年恒例となっているドラフトビッグボードでは、数百人に及ぶ選手の評価・分析を行い話題となっている。戦術、選手育成、大学文化に至るまで多角的な視点でフットボールを分析し、その的確さには定評がある。
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