ニューヨーク・ニックスの歴史的な優勝の余韻がまだ残るなか、NBAシーズンの本格的な開幕までは1カ月半となり、そしてWNBAのプレーオフが見えてきた季節になった。
NBAをメインで見るバスケファンにとっては開幕がとても待ち遠しい季節だが、実はバスケットボール選手のカードは、NBAの商品以外にも時たま封入されている。なかでも野球カードにおける「始球式カード」がその代表的なものになる。
NBAやWNBAの選手がMLBの始球式に参加することは珍しくなく、特に今年のニックスの優勝を機に、多くのニックスの選手たちがヤンキースやメッツの試合で始球式を努めた。もちろんNBAやWNBAだけでなく、始球式ではNFLをはじめとする様々なジャンルのスポーツスターたちが始球式を務め、始球式カードになる。本記事では、NBAシーズン開幕、そしてWNBAのプレーオフが待ちきれないファンのために「ベースボールカードにおけるバスケットボール選手たち」という少し変わった視点でカードを紹介していく。
2024 Topps Now Jalen Brunson #467


ジェイレン・ブランソンが歴史的優勝を決める二年前、ヤンキー・スタジアムで始球式を務めた様子がカードになっている。2023-24シーズン終了後、7月に始球式を務めTopps Nowの受注生産カードになった。ショートプリント版にはニューヨーク・ヤンキースのスター、アーロン・ジャッジとのツーショットが使われ、ニューヨークの巨大フランチャイズをそれぞれ牽引するスター選手二人のレアなカードとなった。今年のブランソンの活躍により、このショートプリント版のPSA 10が600ドル(約10万円)で落札された記録も出ており、通常版ショートプリント版ともにブランソンやニックスのファンなら持っておきたい1枚かもしれない。
2004 Upper Deck Baseball LeBron James #SP7

2003年11月に発売された「2004 Upper Deck Baseball Series 1」にはNBAの”キング”、レブロン・ジェームズの始球式カードが早速封入されている。
2003年6月26日にNBA・クリーブランド・キャバリアーズに全体一位で指名され、翌27日にクリーブランド・インディアンズ対シンシナティ・レッズの試合で始球式を務めた。
ホビー版、リテイル版ともに1ボックスに2枚の割合で封入された「First Pitch」カードは、収録リストから見てもわずか8枚と、かなり少ないインサートセットだ。そしてさらに状態の良いものの取引は多くはない。PSA10のオンラインの落札履歴はわずか1件のみで、680ドル(約11万円)で取引されており、なかなか見かけないレアな1枚となっている。
2026 Panini Donruss Baseball Ball Park Stars Caitlin Clark #4

今年の「Panini Donruss Baseball」にはPaniniが独占契約しているWNBAからエンジェル・リース、アジ・ファッド、ケイトリン・クラーク、ペイジ・ビュッカーズ、NBAからはカードサイン権を契約しているV.J. エッジカムの始球式カードが、それぞれサイン入りのバリエーションとともに始球式の様子が載った「Ball Park Stars」で収録された。
多数のスポーツジャンルにわたりカードを作ってきたDonrussブランドには、著名人や複数のジャンルを超えたスポーツスターを登場させた「Fans of the Game」というインサートがある。今回の「Ball Park Stars」インサートは他ジャンルのスポーツ選手の封入が久しぶりにされた、ファンにとっては嬉しいインサートだ。こちらは現在のWNBAにおけるスターの一人、ケイトリン・クラークの、2022年にシカゴ・カブス対セントルイス・カーディナルス戦で行われた始球式の写真が使用され、シカゴ・西アイオワ州出身の彼女にとっては嬉しい1枚となったことだろう。
なお、ケイトリン・クラークの人気は依然高く、WNBAのカードでなくともサイン入りバリエーションの「Ball Park Stars Autographs」は最高で1,100ドル(約17万円)で取引されている。
2023 Topps Dynasty Autograph Patch Gold Victor Wembanyama #DAP-VW

©Goldin
ニューヨークにおけるファイナルで激闘を繰り広げる3年前、ヤンキー・スタジアムで始球式を務めたヴィクター・ウェンバンヤマ。2023年におけるウェンバンヤマのNBAデビューへの期待は、今までにないほどの盛り上がりを見せ、この始球式の姿は「Topps Now」受注生産とTopps社のフラッグシップシリーズの「First Pitch」カードにもなった。しかもそれだけでなく、Topps社の最高級ブランド「Dynasty」にもウェンバンヤマの始球式カードが収録された。その中でもパッチ入りの”1 of 1″、1枚限定のカードには直書きサインだけでなく、自身の「エイリアン」のニックネームにちなんだイラスト(落書き)とインスクリプションも描かれた、超豪華な1枚となった。
このカードは2026年1月にオークションに出品され、107,358ドル(約1,650万円)で落札された。この「2023 Topps Dinasty」の中でこのカード以上に取引額が大きいものは、「ウェンバンヤマ × アーロン・ジャッジの1 of 1デュアルパッチサインカード」と「大谷翔平のWBCボール入り1 of 1サインカード」の2点のみになると思われたが、なんと/5シリアルのウェンバンヤマの同カードが、6月に108,000ドル(約1,680万円)で落札され、結果的にこの1 of 1の価値を底上げすることとなった。現在のこのカードの価値は未知数ともいえ、市場に出てきた場合いくらになるのか想像もつかない。
紹介したカードのように、スポーツトレカには本来の競技やジャンルを超えて、カード化されることがある。
異なるスポーツの側から、お気に入りの選手を集めてみるのもコレクションの楽しみのひとつ。
ぜひ探してみてほしい。
文:蛭子(株式会社ミント)
MLB・NBA・NFL、その他数々のアメリカンスポーツを愛する生粋のボストンっ子。
現地観戦やファンベースでの経験を活かし、豊富な知識とともに、スポーツへの熱い思いを日々発信中。
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