NBAの長い歴史でも、あのシュートほど劇的な瞬間はそう多くない。
「The Shot」と呼ばれるあの瞬間は、マイケル・ジョーダンのキャリアの中でも特に歴史的なプレイとして知られている。
1989年5月7日。
NBAプレーオフ・ファーストラウンド第5戦。
2勝2敗で迎えた最終戦、シカゴ・ブルズはアウェイで、当時屈指の強豪である、クリーブランド・キャバリアーズと対戦していた。
一進一退の攻防の末、99-98とブルズのリードで迎えた試合最終盤。
残り3秒でキャブスのクレイグ・イーローがレイアップを沈め逆転し、会場は歓喜に包まれる。
スコアはこれで99-100。キャブスファンが沸き立つなか、試合はほぼ決まったかに見えた。
だが残り3秒。
ブルズはタイムアウトを取り、最後のプレーにすべてを懸けた。
インバウンドからボールを受けたジョーダンは右に流れながらジャンプ――
イーローのディフェンスを空中でかわし、放たれたボールはブザーとともにリングを通過した。
ブザーとともに、ボールは美しい放物線を描きネットを揺らし、試合は決した。
キャブスファンの絶望に包まれる中、ジョーダンは両手で空を打ち、コートを踏み鳴らした。
あの両手を挙げて跳ぶ姿は、今も語り継がれる名シーンとなり、まさに伝説の一つだ。
「The Shot」は単なる劇的勝利の瞬間というわけではない。
ジョーダン、そしてブルズが“王者”としての物語を歩み始めた、象徴的な第一歩だ。
以後、ジョーダンはプレーオフで幾度も伝説的なプレイを残し、その評価を確固たるものにする。
ブルズもこの年から躍進し、1990年代に2度の三連覇を達成することになる。ジョーダンとブルズの「黄金時代」がここから動き出したのだ。
そんなジョーダンのカードは、今なお世界中のコレクターから熱い注目を集めている。
もちろん「The Shot」の瞬間も、数々のカードで再現されてきた。
とりわけサイン入りカードとなれば、その希少性は群を抜く。
それは、マイケル・ジョーダン自身がトレーディングカードやグッズへの直筆サインに対し、非常に慎重な姿勢を貫いてきた選手であることに起因する。
1990年代のトレカブーム期でさえ、彼は安易にサインを提供することなく、そのためサインカードは他のスーパースターと比較しても発行数が少ない。
また、ジョーダンは長年にわたりUpper Deck社と独占的なパートナーシップを築いており、
公式に認可されたサイン入のグッズは、原則Upper Deck社からのみリリースされるという構造が現在も続いている。
そのうちの一つがMINT Seller’s VAULTを通じて販売されているこのカード。
2004-2005シーズンの「Upper Deck Trilogy」に収録されていたこのカードは、ジョーダンのサインとジャージカードが挟み込まれている。
言うまでもなくプレミアムなカードで、サインの状態も非常に良好。
非常にコレクション性の高い逸品だ。
また、Upper Deck社とMINTがタッグを組んで制作された「マイケル・ジョーダン 直筆サイン入り実使用フロアピース」も現在販売されている。
ブルズの本拠地だった「ユナイテッド・センター」のフロアの一部に直筆サインを入れた、世界に23枚しか存在しない、スペシャルなメモラビリアだ。
特別に大判のフロアパーツが使用されており、ジョーダンの直筆サインも、この広さに合わせて大胆に描かれている。
さらに、彼のダンクシュートや歓喜の瞬間、そして精悍なジョーダンの写真が、彼の栄光の瞬間を鮮やかに蘇らせる。
ジョーダンという名前が持つ普遍的な価値とユナイテッド・センターという歴史的な舞台が融合したこのフロアピースは、所有すること自体がステータスシンボルとなることだろう。
スポーツが人の心を動かす瞬間は、結果だけでなく、一瞬のドラマにも存在する。
「The Shot」は、それを証明したような瞬間だった。
ジョーダンの偉大な功績と、その歴史的なプレーを、今日は改めて見返してみてはいかがだろうか。
文:伊藤 航(株式会社ミント 広報)