シリーズ 幻のトレカ➃「1993 カネボウ プロ野球カード ゴールドガム」は衝撃のエンボス加工【コラム/ブランド】

わずか2年間の短命に終わったが今でも語り継がれるトレーディングカードがある。カネボウフーズ株式会社が1993年4月に発売した「プロ野球カード ゴールドカード」である。

1992年のオフはプロ野球にとっては大きな出来事が続いた。長嶋茂雄氏が巨人の指揮官として13年ぶりにグラウンドに戻ってきた。その長嶋監督がドラフト会議で単独交渉権を引き当てたのが星稜高・松井秀喜外野手だった。日本ハムファイターズは「親分」こと、大沢啓二球団常務が監督に復帰した。横浜大洋ホエールズは、横浜ベイスターズと球団名を変更した。

エポックメーキングなシーズンの開幕に合わせ発売された「ゴールドカード」はその形態も異質だった。1枚のシートを織り込んで貼り合わせたカードは、表面にあたる部分が立体的なエンボス加工。それまでのトレカに比べれば、2倍の厚さがあった。米国製のトレカで「Action Pack」というブランドがあったが、日本では画期的な加工が施されていた。当時、BBM「スポーツカードマガジン」ではその登場を「衝撃的」とさえ、紹介している。

「ゴールドカード」の大きな特徴はもうひとつ。セ・リーグ6球団の監督、選手が対象で、パ・リーグ6球団はカード化されなかった。同じ菓子メーカーのロッテに忖度したのか、ロッテがカード化を承諾しなかったのか、はわからないが、コレクターにとっては残念な話である。

パックにはカード1枚とフーセンガムが1枚。価格は当時、60円だった。当時の食品業界紙の報道によると「米国では、カード市場が巨大マーケットを形成していることから、日本でも可能性ある市場だとしてカードガム市場の創造を強力に展開する方針」とある。この93年にはプロ野球版だけでなく、サッカーJリーグの「ゴールドカード」も作られた。プロ野球版は翌年はさらに進化して第1弾、第2弾に分けて販売。「ゴールドカード」は94年限りとなったが、カネボウフーズは後に、TOPPSと提携して日本語版のMLBカードも制作することにつながった。

初年度版の「ゴールドカード」は全64種類。巨人が長嶋監督を迎えユニホームをマイナーチェンジしたため、旧ユニホーム版に加え、新ユニホーム版が後から封入された。また、プロモーションカードも存在し、使われている写真が商品とは異なるものが存在する。未確認情報ではあるが、プロモーションカードでは収録されていた、92年に打点王に輝いた横浜大洋ホエールズのラリー・シーツ外野手が退団。93年より横浜ベイスターズにチーム名が変更となり、ベイスターズでのユニホーム写真もないため、一度は制作されたシーツのカードがお蔵入りになった、という。

エンボス加工に加え、オリジナルのロゴマークもカッコよく、写真の選択もセンスが高かった。「ゴールドカード」の名前通り、ゴールドを基調にした高級感も醸し出していた。松井秀のルーキーカードは現在でも5,000円前後で取引されており、人気があった。長嶋監督のガッツポーズ、落合博満内野手の打席での高々とバットを構える打撃フォームも秀逸。約30年前のトレーディングカードとは思えない。「幻のトレカ」ではなく「名作トレカ」の連載で紹介してもいい。30年、いや、20年、登場が早過ぎた「名作」だった。

【チェックリスト】(選手名はカード記載の通り)

001 ジャック・ハウエル
002 トム・オマリー
003 古田敦也
004 ジム・パチョレック
005 前田智徳
006 屋鋪要
007 駒田徳広
008 正田耕三
009 立浪和義
010 高木豊
011 広沢克己
012 川相昌弘
013 久慈照嘉
014 飯田哲也
015 和田豊
016 野村謙二郎
017 原辰徳
018 落合博満
019 盛田幸妃
020 中込伸
021 仲田幸司
022 北別府学
023 斎藤雅樹
024 伊東昭光
025 湯舟敏郎
026 岡林洋一
027 宮本和知
028 岡本透
029 大野豊
030 佐々木主浩
031 池山隆寛
032 亀山努
033 長嶋茂雄
034 佐々岡真司
035 山田勝彦
036 川又米利
037 小桧山雅仁
038 西村龍次
039 高木守道
040 小早川毅彦
041 R.ハドラー
042 郭李建夫
043 G.ブラッグス
044 J.バーフィールド
045 山本浩二
046 今中慎二
047 伊藤智仁
048 谷繁元信
049 L.モスビー
050 松永浩美
051 野村克也
052 長冨浩志
053 R.ローズ
054 大豊泰昭
055 中西清起
056 長嶋一茂
057 近藤昭仁
058 西山秀二
059 金森栄治
060 中村武志
061 松井秀喜
062 中村勝広
063 有働克也
064 秦真司

Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。

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