
WWEの「サタデーナイツ・メインイベント」が12月13日、ワシントンDCで行われ、ジョン・シナが引退試合で「皇帝」グンターのスリーパーホールドにタップ。「ネバー・ギブアップ」が信条だったスーパースターが「ギブアップ」して、自ら、波乱万丈の25年間のレスラー人生の幕を下ろした。
この日の「サタデーナイツ・メインイベント」はテレビ放送はなく、YouTubeでの配信のみ。会場のキャピタル・ワン・アリーナに詰めかけた1万9232人の満員の観衆と世界中のユニバース(WWEファン)が英雄の最期を見届けた。
「レッツゴー、シナ!」の大チャントを浴びて入場。リングサイドにいた、2002年6月のWWEデビュー戦の相手だったカート・アングル、トリッシュ・ストラトス、マーク・ヘンリー、ロブ・ヴァン・ダムらレジェンドらと握手をかわして、リングに上がった。
シナの最後の相手を決めるトーナメントを勝ち抜いた元世界ヘビー級王者のグンターは、日本のプロレスを彷彿させるストロングスタイル。序盤から得意の水平チョップでシナを攻めたてた。

だが、シナはフライングタックルから「見えっこねえ!」のポーズ。ファイブナックルシャッフル、アティテュード・アジャストメント(AA)を決めるが、跳ね返された。
これまで何人ものライバルを失神させてきたグンターの必殺スリーパーホールドをかわして、スリーパー返し。場外では鉄階段の上からAAを放ってテーブル葬に。リング内ではコーナーからレッグドロップ。再三のファイブナックルシャッフルに雪崩式AAまで繰り出すが、皇帝から3カウントを奪えない。
一瞬、見せた隙を見逃さず、グンターがスリーパー。レフリーが失神を確認しようとシナを手を取るが、OKポーズでアピール。一度は逃れたが、執拗にエルボーを首筋に叩き込まれ、またも胴締めスリーパー。最後は「もういい。わかった、わかった」とでも言うかのように、笑みを浮かべて左手でグンターの左腕をたたき、タップアウトした。


リングに残ったシナは、それでも、すがすがしい表情。CCOのトリプルH、統一WWE王者コーディ・ローデス、世界ヘビー級王者CMパンクらスーパースター、スタッフがリングサイドに次々と集まり、別れのセレモニー。コーディとパンクから「恩返しだ」とベルトを渡され、シナははにかみながらベルトを掲げた。

リングにキスをして、シューズを脱ぎ、リストバンドとアームバンドを外してリングに置いて、リングを下りた。花道を引き揚げて、入場口の前で「ありがとう」とマイクを使わず、つぶやき、最後は、シナの代名詞だった敬礼ポーズを決めてバックステージに消えた。

すでにシナはWWEと今後3年間のアンバサダー契約を結んでおり、後進の指導などに当たる。

TOPPS社のオンデマンドカード「TOPPS NOW」では、この日のラストマッチに向け、予告のポスター、最後の相手に決まったグンターのトーナメント決勝の様子をカードにして盛り上げてきた。この日は、試合中の様子ではなく、試合後のローデス、CMパンクから2本のベルトをかけられたシーンをカード化した。購入者の中から抽選であたる「LUCKY HIT」には、3人のコラボサインカード、シナ単独のインスク入りサインカード、イメージバリエーションとして花道を去るシナ、リングに置かれたシューズとリスト、アームバンドのカードが作られた。これほどの種類の「LUCKY HIT」が作られるのは極めて異例で、さすが、シナである。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。ボブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。最近はトレカだけでなく、米国のリサイクルショップを回り、地元のアマ、プロチームの中古Tシャツ集めにはまっている。



























