2024年のパリ五輪バドミントン女子ダブルスで銅メダルを獲得した志田千陽と松山奈未(ともに再春館製薬所)が7月8日、8月下旬にパリで開催される世界選手権を最後に「シダマツ」ペアを解消することを明らかにした。熊本県内にある所属先の再春館製薬所での会見で発表した。
涙の会見となった。28歳の志田は「五輪の結果に満足しているものの心残りがあり、女子ダブルスで世界一になりたい」とさらなる目標を口にした。「ここまでいろんなことがあったけど、ずっと私と一緒にコートに立ってくれたこと、オリンピックが終わってからモチベーションの部分で難しさを感じていることは隣にいて分かる時もあったけど、それでも最後まで走り続けて一緒に頑張ってくれたことに感謝しています」と話した。
27歳の松山は「パリ五輪に人生をかけてこれ以上ないほど努力をしたので、これ以上強くなる自分を想像できない」と話した。「私は不器用で、体の限界に気づかず、怪我や病気、そして志田さんを待たせてしまうことも何度もありました。そんな自分が、志田さんの、もっと高みを目指して世界一を目指したいという目標を壊してしまうことがとても怖く、解消することがお互いの未来のために一番の、最善の第一歩だと考えました」と明かした。
初めてペアを組んだのは2014年。ジュニア日本代表の合宿で当時、志田は青森山田高1年、松山は福岡・九州国際大府中3年だった。以前の日韓交流戦で初めて会話を交わして意気投合し、メールで連絡を取り合うなど気が合った2人。最初に出た韓国の国際大会でいきなり優勝した。
パリ五輪では決勝進出こそならなかったが、3位決定戦でマレーシアのペアを下して念願の銅メダルを獲得。勝利の瞬間、号泣する松山を志田が優しく包み込んだ。
ふたりは所属は変えず、志田は9月から混合ダブルス「ワタガシ」ペアの一人として知られた五十嵐有紗(BIPROGY)と新ペアを結成する。「これから私も新たなステージで世界で戦っていきたい。何度も引退を考えましたが、私はやっぱりバドミントンが好きですし、まだバドミントンに対する情熱は冷めていないので続けていきたい」と松山も新しいペアを組むという。
ふたりで戦うのは残りところ、あと3試合。7月15日開幕の国際大会、ジャパン・オープン(東京体育館)が国内最後の試合となり、フランス・パリで行われる8月の世界選手権が最終戦となる。「お互いのそれぞれ新たな目標に向かって走り出すことを決めた。10年の思いを込めて、残りの大会、シダマツとして最高のパフォーマンスができるように頑張るという気持ちです」と誓った。
人気ペアの「シダマツ」だけに、トレーディングカードも人気がある。志田は2016年にBBM「シャイニングビーナス」に初登場して以来、2022年から2024年にはBBM「Infinity」に松山とともに3年連続で収録された。パリ五輪での奮闘ぶりは、もちろん、エポック社の「2024 EPOCH TEAM JAPAN PARIS MEDALISTS COLLECTION」やオンデマンドカード「EPOCH-ONE」でもカードになった。コートで、トレカで感動を与えてくれた「シダマツ」ペアに感謝し、新しいふたりの門出を応援したい。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。ボブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。