渡辺恒雄さんが天国へ。 スポーツ界にも大きな影響を与えた「ナベツネ」さんのサインボール!【コラム/珍カード珍道中】

読売新聞グループ本社代表取締役主筆で、元読売巨人軍オーナーの渡辺恒雄さんが12月19日、天国へ旅立った。98歳だった。

東大から。1950年に読売新聞社に入社し、政治部でエース記者になった。91年に同社の代表取締役社長・主筆に就任すると、政界に大きな影響力を及ぼすだけでなく、過激な発言と、NPBで水面下で活発な動きを見せ「球界のドン」と言われるようになった。ドラフトでの「逆指名制度」や「フリーエージェント(FA)制度」の導入を実現させた、とされる。

98歳になった今年、3月に都内ホテルで行われた巨人を激励する「燦燦(さんさん)会」では「足を痛めておりまして」と車椅子に乗って姿を見せて、存在感の健在ぶりを見せていた。

メディアはその発言を求め、渡辺さんをことあるごとに追いかけた。当時、スポーツ紙の下っ端記者だったボクもそのひとりだった。東京ドームの出入り口で、都内にある自宅マンションの前で「ナベツネ」さんを待った。料亭で政治家と食事したのだろうか、ほろ酔いの赤ら顔の「ナベツネ」さんは期待通りに過激な発言をしてくれた。機嫌が悪い時はにらまれた。

20年近く前のことである。そのスポーツ紙の新年企画で、スポーツ紙で初めての単独インタビューをやることになった。下っ端のボクは呼ばれず、野球部の部長になった大先輩が読売新聞社の渡辺さんの部屋へ。

その時に、お願いしたのが、「ナベツネ」さんのサインボールだった。まあ、インタビューの途中で話のネタになれば、と気を利かせたつもりだったが、「なんで、サインしなければいけないんだ」と怒らせて、場が盛り上がればいいとも思っていた。なにせ、ボクは取材中にサインなんてもらえないのだから。

インタビューから会社に戻ってきた部長から手渡されたボールには達筆なサインが。はっきりとは言われなかったが部長の笑顔からインタビューが成功したことがわかった。

ジャッジや大谷翔平のホームランボールが高値で取引され、ボールに注目が集まっている。訃報を聞き、改めて見直したが、力強い文字から何かパワーが伝わってくる。インスクも頼めばよかった、と思いながらもこれだけでも家宝ものだと感じている。

Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。

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