MLBニューヨーク・メッツ傘下のマイナー球団でプレーしてきたティム・ティーボウ外野手が2月17日、野球を引退することを発表した。ティーボウはNFLのデンバー・ブロンコス、ニューヨーク・ジェッツでプレー。16年に野球転向を表明。メッツとマイナー契約を結び、メジャー昇格を目指し外野手としてマイナーでプレーしていた。
ティーボウはメッツのトライアウトに合格した後、16年にルーキー・リーグ、17年にシングルA、アドバンスドA、18年にAA、19年にはAAAと順調にステップを踏んだが、昨季は新型コロナの影響でマイナーでの試合が中止になり、メジャー昇格へアピールすることができなかった。
17年にはデビュー戦で本塁打。マイナーの球宴でもアーチを記録した。昨年はWBCのフィリピン代表に選ばれた(米国人の両親がキリスト教の布教活動をしていたフィリピンで産まれた)が、新型コロナのために予選が中止になった。4年間(実質は3年間)のマイナーでの通算成績は287試合に出場して打率.223、18本塁打、107打点だった。
トレーディングカードは、マイナーのチームセットだけでなく、TOPPS「BOWMAN」「BOWMAN CHROME」に加え、同社のオンデマンドカード「TOPPS NOW」でもカードが制作されるなど、トレカ業界も「野球選手」のティーボウに注目していた。NFLでは3シーズンで35試合に出場し、パス獲得2,422ヤード、ラン獲得989ヤードに終わったが、フロリダ大ではQBとしてハイズマン賞に輝き、ドラフト1巡目(全体25位)でプロ入りしただけにフットボールのトレカも数多く発行されている。
ティーボウの野球断念で改めて評価されたのが、過去にMLBとNFLの二刀流選手として成功したボー・ジャクソンとディオン・サンダースのふたりだ。
ボー・ジャクソンは86年のMLBドラフトでカンザスシティー・ロイヤルズと、87年のNFLドラフトではロサンゼルス・レイダースからそれぞれ指名を受けて入団し、米4大スポーツのうち2つの球宴に出場した唯一の選手となった。ディオン・サンダースは88年のMLBドラフトでニューヨーク・ヤンキースから指名されて89年に昇格。同年のNFLドラフトでは1巡目(全体5位)でアトランタ・ファルコンズに入団。同じ週にMLBで本塁打、NFLでタッチダウンを記録した史上初の選手となった。
フットボールは接触プレーが多いため、故障を恐れて野球との同時プレーは難しい。ティーボウのように、どちらかひとつに専念してもダメだった。そんなティーボウのトレカの市場価格も上がってはいたが、もちろん、ジャクソンとサンダースのふたりのスーパースターにはかなわなかった。ふたりが同時にふたつのスポーツでプレーし結果を出した事もその理由だろう。
「この旅の全ての瞬間を楽しんだが、今は別の方向に呼ばれているように感じる。何事も中途半端は絶対にだめだ。何でも自分が選んだことには常に100パーセントでいたい。野球の世界でのこの素晴らしい旅をサポートしてくれた皆さんに改めて感謝する」と語ったティーボウ。バスケットボールを一時的に引退して野球に挑戦し、再びNBAに戻ったマイケル・ジョーダンの例もある。今後は未定だが、ティーボウがフットボールに復帰をする可能性も否定できない。
トレカジャーナル編集部