WWEで「超人類」と呼ばれたレジェンド、ビル・ゴールドバーグが、7月12日、アトランタでの「サタデーナイツ・メインイベント」で、世界ヘビー級王者のグンターとの引退試合で敗れ、現役引退した。
NFLアトランタ・ファルコンズなどでプレーした後、1997年にWCWでデビューし173連勝の記録を作った。2002年にWWEに移籍し、必殺技のジャックハマーとスピアーを武器に全米を沸かせた。10年以上リングから離れたが、2016年に復帰。2018年にWWE殿堂入りを果たすと、2020年にはユニバーサル王座を53歳で獲得した。
2022年に契約終了後は表舞台に姿を現さなかったが、今年、地元アトランタでの大会をリングサイドで観戦していたところ、リング上のグンターから挑発を受け、家族を愚弄され、電撃復帰。この日のタイトルマッチを現役引退試合として開催することが決定した。
2022年2月のローマン・レインズ戦以来、3年5か月ぶりの試合、さらには58歳とは思えない戦いを見せた。地元ファンの「ゴーバー!」チャントを浴びながら突進。ラリアートからデッドリードライブでグンターを投げ捨てた。
場外で強烈なチョップをくらうと、スピアーをかわされ場外バリケードに突っ込み失速。何とか反撃に出て、スピアーを放つが、またも王者にかわされてレフェリーに誤爆。審判不在のリングで、グンターは、ゴールドバーグの古傷でもある左ヒザのプロテクターを外して攻撃。さらに場外に下りて、観客席最前列にいたゴールドバーグの息子ゲイジさんを突き飛ばす暴挙に出た。
スタミナを回復させたゴールドバーグは、リングに戻った王者をスピアーで吹っ飛ばす。こん身のジャックハマーも完璧に決まったものの、左ヒザの激痛でカバーが遅れた。代わりのレフェリーのカウント開始も遅れ、カウント2で返された。
最後はグンターが、数々の挑戦者を退けてきた胴締めスリーパーホールド。気力さえも絞め落とされて失神。最強王者と評されるグンターの前に散った。
試合後のリングには家族、WCW時代の同僚でWWE殿堂者のダイヤモンド・ダラス・ペイジ、ジョシュ・バーネットら友人が上がり、セレモニーが行われた。
「アトランタで負けたことは一度もないので、ちょっと調子が悪い状態で試合に臨んだことを謝りたい。世界中から100人を超える友だち、家族がここに来てくれている。本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。アトランタのファンたちは本当に素晴らしい。愛しているよ。君たちがいなければ、俺は何も成し遂げられなかった」と話し、ユニバースから大歓声を受けた。
穏やかな笑みを浮かべて、スロープを歩き、入退場口に消えた。
TOPPS社のオンデマンドカード「TOPPS NOW」では、ゴールドバーグのラストマッチ決定から「超人類」を追いかけ、この日のラストマッチは抽選で当たる「LUCKY HIT」として、グンターに決めたスピアーのイメージバリエーションも企画した。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。ボブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。