デンゼル・クラーク外野手(オークランド・アスレチックス)が「今季最高の」ホームランキャッチを見せた。
ロサンゼルス・エンゼルスと6月9日、敵地エンゼルスタジアムで対戦。初回1死、ノーラン・シャヌエルの大飛球はセンターバックスクリーン方向へ飛んだ。クラークはジャンプして右足を掛けて2メートル43センチのフェンスをよじ登り、上体をフェンスからせり出しながら、逆シングルで打球をつかんだ。その勢いでフェンスの手すりで上半身でくるりと回って両足で見事に着地し、雄たけびを上げた。
飛距離は約121・3メートル。衝撃のスーパープレーで救ってもらったマウンド上のグラント・ホルマンはしばらく両手で頭を抱えたまま。幻の4号アーチをもぎ取られたシャヌエルもぼうぜんとしたまま、しばらく一、二塁間に立ち尽くしていた。
「初めての球場での初めてのプレーはアイスブレーク(緊張をほぐす刺激)のようだった。クレイジーなプレーだった」とクラークは話した。5月23日のフィラデルフィア・フィリーズ戦で昇格したばかりのルーキーは2週間前にもスーパーキャッチを見せていた。5月30日に故郷・カナダで行われたトロント・ブルージェイズ戦でもホームランキャッチを披露した。
4回、アレハンドロ・カークが放った左中間への飛距離約124メートルの当たりを、クラークはジャンプしながらフェンスを駆け上がり、フェンス上でスーパーキャッチ。投手のミッチ・スペンスは信じられないという表情で両手を頭の上に置いた。
クラークは捕球後はすぐに内野に送球すると、外野手たちに右手の人差し指でアウトを示し、スクリーンに自らのスーパープレーが映し出された際もやり過ごした。「(スクリーンでは)自分のルートが良かったのか、タイミングが合っていたかを確認するのが好きなんだ。あのキャッチは全てがうまくいったので、本当にうれしかった」と平然。クラークはその後、ジョージ・スプリンガーの約120メートルの大飛球も右中間フェンス際で好捕した。
TOPPS社ではオンデマンドカード「TOPPS NOW」では最初のホームランキャッチがカードになるかと思いきや、翌5月31日の初本塁打がカードになった。しかし、2回目のスーパーキャッチは「今季最高のホームランキャッチ」とメディアで報道されたこともあり、連続写真でカードになった。
守備でのスーパープレーは、MLBでは打撃同様、高い評価を受けてきた。ウィリー・メイズ外野手の「ザ・キャッチ」を筆頭に、クラークが「今季最高のホームランキャッチ」を演じた相手、エンゼルスのマイク・トラウト外野手のホームランキャッチも語り継がれる伝説のプレーである。そして、それらはトレーディングカードになってきた。
NPBでは、ホームランキャッチが米国の野球殿堂入りしたこともある。1980年9月16日の西宮球場での阪急ブレーブス・ロッテオリオンズ戦で、山森雅文外野手が左翼フェンスによじ登り、山田久志投手から弘田澄男外野手が放った「ホームラン」をキャッチ。米国ではその俊敏な動きから「ニンジャ(忍者)キャッチ」として紹介された。このシーンは2016年に制作されたBBM「ヒストリック・コレクション 球場物語」にカードが収録された。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。ボブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。