第19回アジア競技大会（中国・杭州）は10月5日、女子バスケットボール決勝が行われ、日本代表は72－74で中国代表に敗れ、銀メダルとなった。

アジア大会で4大会連続の銅メダルに留まっていた壁は超えたが、6大会ぶり25年ぶりの優勝にはあと一歩届かなかった。3か月前に6連覇をかけたFIBAアジアカップ決勝で、2点差で敗れた世界ランキング2位を相手に、完全アウェイの中でリベンジを挑んだ一戦は、第1クォーター（Q）から高さで上回る中国に主導権を握られた。

第2Qに入ると最大17点差を付けられる場面もあったが、それでもこの大会でキャプテンを務めた林咲希（富士通レッドウェーブ）の3ポイント、川井麻衣（トヨタ自動車アンテロープス）の3点プレーなどで5点差まで迫った。

第3Qは、粘り強いディフェンスで格上の中国を12得点に抑え、最後は髙田真希（デンソーアイリス）、宮崎早織（ENEOSサンフラワーズ）の連続得点で6点差と食い下がった。

勝負の第4Qは、苦しい時間帯に東藤なな子（トヨタ紡織サンシャインラビッツ）がスコアを伸ばし、残り3分で川井のレイアップが決まり65－65の同点。再び中国にリードを許した残り14秒の土壇場で、キャプテンの林が起死回生の同点スリーを沈めたが、最後は残り9秒で決勝ゴールを許し、再び2点差で涙をのんだ。

個人スタッツでは、5本の3ポイントを決めた林が、WNBAでプレーする中国代表のリー・モンと並んで最多タイの17得点。チーム最年長の髙田が13得点8リバウンドをマークした。

来年2月にオリンピック世界最終予選（OQT）を控える日本は、6月のアジアカップで主力として出場していた馬瓜ステファニー（スペイン・エストゥディアンテス）と山本麻衣（トヨタ自動車アンテロープス）を欠きながらも、チーム力の底上げを狙って現状のベストメンバーで今大会に参戦。打倒・中国を目標に、アジアカップ以上のメンバーを揃えてきた中国と決勝で再戦したが、あと一歩及ばなかった。

「チーム全員で戦い切れた。課題も残ったが、いい大会になったかなと思う。今回はみんなが足を止めることなく動き続けた。自分たちのリズムはこういうことだと感じられた部分があった」と林は話した。「前半にうまくできなかったディフェンスが、結果に響いてしまいました。相手のガードに点数を取られすぎたのは責任を感じています。もっとプレッシャーをかけながらも、自分のマークマンは自分で守り切る。日本の方が脚力はあるので、前半からディフェンスでもっと声を出してうまくできていれば、この2点の差は埋まっていたと思います」と宮崎。2点差での連敗にも、その差に手ごたえを感じていた。

東京五輪では銀メダルを獲得したバスケットボール日本女子代表は現在、世界ランキング9位。だが、24年のパリ五輪出場には、五輪世界最終予選ではスペイン（世界4位）、ハンガリー（同19位）、米大陸予備予選1位国（同5位のカナダが有力）と対戦し、3位以内に入る必要がある。

「そこ（五輪世界最終予選）に向けての収穫と課題が見つかった。ここで下を向く必要はない。この結果を受け止めて次に向かっていかないと、ステップアップできない。悔しさ以上に、次、しっかりやらないといけないという気持ちのほうが今は大きい」と高田はチームの思いを代弁した。

この決勝でも存在感を見せた東藤は、発売されたばかりのエポック社「2023 TEAM JAPAN オフィシャルトレーディングカード SYMBOL ATHLETES　& NEXT SYMBOL ATHLETES」に女子バスケットボール選手としてただひとり、「NEXT SYMBOL ATHLETES」として収録されている。

トレカジャーナル編集部