
ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平投手が11月13日、全米野球記者協会(BBWAA)の投票によって、大谷はナ・リーグ最優秀選手(MVP)を満場一致で受賞した。フィリーズのカイル・シュワーバー外野手(2位)、メッツのフアン・ソト外野手(3位)を抑え、3年連続にして通算4度目のMVP、そしてドジャース移籍後2年連続、の受賞となった。
エンゼルス在籍時にアメリカン・リーグで受賞した2021、23年とドジャースで選出された24年に続き、投票者全員から1位票を集めての満票で選出。4度目の受賞は、通算762本塁打の大リーグ記録を持つバリー・ボンズの7度に次いで単独2位となった。
メジャー8年目を迎えた今季、大谷は5月に自身の最多記録に並ぶ月間15本塁打を放ち、7月には日本選手初の5試合連続本塁打を記録。9月には史上6人目となる2年連続の50本塁打に到達した。今季は158試合に出場し、打率2割8分2厘、自己最多の55本塁打、102打点、20盗塁。146得点は両リーグ通じて最多だった。
ドジャース移籍1年目の昨季は、右肘手術を受けた影響から指名打者(DH)専任でプレー。54本塁打、130打点で打撃2冠を獲得するとともに自己最多の59盗塁をマークし、メジャー史上初の「50-50」(50本塁打、50盗塁)を達成。58年ぶりに両リーグでのMVP受賞を果たした。

今年6月、2シーズンぶりに投手として復帰し、投打「二刀流」が復活。投手としては14試合に登板し1勝1敗、防御率2・87、62奪三振の成績を残した。
ア・リーグ覇者、ブルージェイズとのワールドシリーズでは、第3戦でポストシーズン初となる1試合9出塁。第4戦と第7戦では先発マウンドに上がり、投打でチームの連覇に貢献した。
発表したMLBネットワークの番組にはラフな私服姿で真美子夫人とデコピンを挟んで出演。代理人のネズ・バレロ氏や関係者とともに歓喜の瞬間を迎えた。「生活リズムは当然変わるとは思いますけど、家族のサポートもあって、極力グラウンドで集中できる環境もあり、その中で生活していくっていう感じではあったので。そこは本当に周りの人のサポートにすごく感謝してます」と笑顔を見せた。
来季は3連覇がかかる。「難しいことだなっていうのは十分理解してますけど、勝った今だから、しっかりとまた新たな目標を立てて進んでいくのがチームとして大事。難しいことですけど、そこにチャレンジしていくっていうのが、今のドジャースとしてのみんなの意志かなと思います」と決意を口にした。
「先発ピッチャーとしてしっかりとまず、1年間(ローテーションを)回るのが目標ではあるので」と、投手としての完全復活を見据えた。
打撃については「すごい感覚がいいなという感覚は、今シーズンはあまりなかったと思う」と振り返った。シュワバーに56本塁打は1本差、132打点は30打点差で及ばなかったが、打率、OPS、得点など多くの部門では上回った。打撃のベストナイン「シルバー・スラッガー賞」では同じナ・リーグ指名打者部門での戦いになったが、大谷が制し、リーグ最高の栄誉でもあるMVP争いも制した。
「非常に光栄ですし、ソト選手、シュワバー選手も素晴らシーズンだったので、素晴らしい選手と競えたことがまずよかったと思います。ワールドシリーズで勝ったのがまず1番自分の中で達成というか、素晴らしい出来事だったと思う。最後締めくくりとして自分自身がシーズンのMVPを取れたことも大きいことなので、すべての人の感謝したいと思います」と笑顔を見せた。
北米4大プロスポーツ(MLB、NBA、NFL、NHL)の歴史上、「加入から2年連続でMVPと優勝を同時に達成した選手」は大谷が初めて、という。大谷はメジャー史上、4度MVPを受賞した2人目の選手で、もう1人は歴代最多7度を誇るバリー・ボンズ。3年以上連続でMVPに輝いたのは、2001〜2004年のボンズと大谷のみだ。満場一致でのMVP受賞もこれが4度目。1931年以降、全会一致での受賞は通算24例あるが、複数回それを達成したのは大谷だけである。
昨年、大谷はフランク・ロビンソン(1961年レッズ、1966年オリオールズ)以来となる「両リーグでのMVP受賞者」となったが、両リーグで複数回の受賞を果たしたのは史上初だった。「2年連続でMVPとワールドシリーズ制覇を達成した」のは、大谷とジョー・モーガン(1975〜76年)の2人だけ。さらに「MVPとワールドシリーズ優勝を同一年に複数回達成」も、大谷を含めモーガン、ジョー・ディマジオ(1939・41・47年)、ミッキー・マントル(1956・62年)の4人しかいない。
さらに「シーズンMVPと、ワールドシリーズまたはリーグ優勝決定戦(LCS)のMVPを同年に受賞した」選手も、ジョシュ・ハミルトン(2010)、マイク・シュミット(1980)、ウィリー・スタージェル(1979)、レジー・ジャクソン(1973)、ロビンソン(1966)、サンディ・コーファックス(1963)に続く快挙となった。
TOPPS社のオンデマンドカード「TOPPS NOW」では早速、大谷のMVP受賞記念カードを制作。アメリカン・リーグのMVPを受賞したアーロン・ジャッジ外野手(ニューヨーク・ヤンキース)も「TOPPS NOW」も作られ、大谷とジャッジのコンボカードも登場。それぞれのカードの抽選で当たる「LUCKY HIT」は直筆サインカードで、コンボサインも実現した。


また、昨季の大谷の3度目のMVP受賞を記念した「2025 Topps Welcome to the Club: 3X MVP」が通販限定で発売され瞬時に完売した。過去に3度以上のMVPを受賞したレジェンド達と大谷をフューチャーした企画だったが、今回の4度目で新しいカードが企画される可能性も十分にありそうだ。




Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。ボブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。最近はトレカだけでなく、米国のリサイクルショップを回り、地元のアマ、プロチームの中古Tシャツ集めにはまっている。



























