FIFAワールドカップのカタール大会が開幕。グループEの日本代表は11月23日、ハリーファ国際スタジアムでドイツと対戦し、2-1の逆転勝利をおさめ、勝ち点3を手に入れた。
前半8分、MF鎌田大地からMF伊東純也とつなぎ、FW前田大然が走り込んで決めたゴールがオフサイドで認められなかったシーン以外は、ドイツに主導権を握られていた。前半33分には、GK権田修一が与えたPKでイルカイ・ギュンドアンに先制点を許し、ハーフタイムを迎えた。
だが、間違いなく森保一監督の采配が防戦一方だった流れを変えた。ドイツの猛攻に疲れが見えてきた守備陣にまず、後半スタートからDF冨安健洋を入れて3バックに隊形を整えると、MF三笘薫、FW浅野拓磨、MF南野拓実、MF堂安律が次々とピッチに。超攻撃型の布陣がドイツの守護神、GKマヌエル・ノイアーに襲いかかる。
そして、後半30分。三笘が得意のドリブルで持ち込んだチャンスに、南野がシュート。ノイアーが弾いたこぼれ球を堂安が決めて同点。「俺が決める気持ちで入ったし俺しかいないと思っていた。俺が日本サッカーを盛り上げる」と試合後、堂安は「らしく」言い放った。
さらに、後半38分には板倉滉のFKに反応した浅野がボックス内右の角度のないところから逆転のシュートを突き刺した。「チャンスがあればシュートを打つことを決めていました。その前にもチャンスがあって、それが結果的に最後に繋がったと思います」
4年前のロシア大会ではバックアップメンバーとしてスタンドで見守ったW杯。自身初の出場で大きなゴールを決めた。「約4年半前にW杯のメンバーに入れなくて、その瞬間から今日のことを想像しながら、今日の日のために全力で準備してきました」。ジャガーポーズも飛び出した。
終盤は、ノイアーも攻撃に参加して、日本のゴール前でのせめぎあいとなったが、超攻撃型の布陣が守備でも健闘し権田もスーパーセーブを4連発。全員でアディショナルタイム7分間も耐え、勝利の笛が鳴った。
「選手、スタッフ一丸となって、粘り強く戦おうというのが勝利に繋がった。まだ一試合終わっただけ。一喜一憂しすぎず、終わったことを反省して、次の試合で勝利目指して戦いたい」と森安監督は冷静だった。
それでも、指揮官として、悪夢を断ち切る歴史的な白星だった。「“ドーハの悲劇”ということで、アメリカW杯の最終予選で悲しい思いをしました。今度は監督としてこのドーハで“ドーハの歓喜”に変えたいと思っています」と大会前に話していた。29年前、選手として、初のW杯出場を目前で逃した。さらにロシア大会では、コーチとしてベルギー戦で大逆転負けを喫していた。
5度目のW杯優勝を目指すドイツを下し、7大会連続7度目のW杯で初のベスト8入りを目指す日本代表が最高のスタートを切った。日本代表は第2戦で27日、コスタリカ代表と対戦する。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。