MLBナ・リーグ地区シリーズのフィリーズ-ドジャース第1戦が10月4日、シチズンズバンクパークで行われ、ドジャースが5-3で先勝。大谷翔平投手が「1番DH・投手」で先発し6回を3安打3失点。9三振を奪う力投で逆転勝利を呼びポストシーズン(PS)初登板初勝利をマークした。9回には佐々木朗希投手が1イニングを1安打無失点に締めて初セーブを記録した。
1番に首位打者のターナー内野手、2番に本塁打王のシュワーバー外野手、さらに、MVP経験のあるハーパー内野手らがそろう強力打線を相手にメジャー8年目で初めてポストシーズンのマウンドに立った。フィリーズのチームカラーでもある赤いタオルが熱狂的に振られるスタンドの中、完全アウェーでも、これこそが大谷が望んでいた「ヒリヒリする」戦いだった。
2回にリアルミュート捕手に左中間への2点適時三塁打、ベーダ―外野手に左犠飛で3点を先行されたが、MAX101.4マイル(約163.2キロ)の直球で、気迫の投球を見せる大谷は3回以降は1安打に抑える熱投。6回にK・ヘルナンデスの左翼線への2点適時二塁打、7回にT・ヘルナンデス外野手の右中間への逆転3ランが飛び出した。
今季、投手として復帰した大谷は初めて投球数、イニングの制限を解除。89球で6回を投げ切り降板。「味方が反撃に出るまでしっかりと粘れば、必ず勝つチャンスは来るとは思っていた。全体的に楽しめた」と試合後に話した。
大谷からグラスノー、ベシア投手とつないだ勝利のバトンを受けたのは佐々木だった。
ワイルドカードシリーズで2試合にリリーフ登板し「復活」した佐々木は先頭のリアルミュートを見逃し三振、続くケプラー外野手に右翼線へ二塁打を許したが、後続を断ち、無失点に抑えた。MAX101マイル(約162.5キロ)の直球と鋭く落ちるスプリットだけの11球で初セーブをマークした。
「(準備を言われたのが)9回表1アウトからだったのでちょっとびっくりした。でも、ビビるようなことはなかった。(ストライク)ゾーンで強い球を投げて、押し込めた」と試合後、グラウンドでのインタニューで話した。
PSで白星を挙げた日本人投手は今年の山本(ドジャース)以来10人目で、先発では6人目。PS初登板で白星を挙げたのは2008年の黒田博樹(ドジャース)以来、17年ぶり2人目となった。
佐々木は日米を通じて初のセーブとなった。PSで勝利とセーブをともに日本人が記録したのは、2013年レッドソックスの田沢純一、上原浩治以来12年ぶり2度目。この時はタイガースとのリーグ優勝決定シリーズ第6戦で、田沢は救援勝利。先発勝利とセーブを記録したのは今回が初めての快挙となった。
ドジャースのロバーツ監督が「我々はまたしても歴史を目撃した」と表現した、大谷と佐々木の快挙は早速、TOPPS社がオンデマンドカード「TOPPS NOW」でカードに。大谷はマウンドで吠える姿、佐々木はよみがえった豪快な投球フォームがカードになった。大谷の「LUCKY HIT」は試合で使用されたボールのロゴ部分を裁断して挟み込んだレリックカードが企画された。大谷のPSでの「TOPPS NOW」は、レッズとのワイルドカードシリーズ第1戦での2本塁打に続く2枚目となった。この後のPS、ワールドシリーズでふたりのカードがどれほど、作られるのか、楽しみだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。ボブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。最近はトレカだけでなく、米国のリサイクルショップを回り、地元のアマ、プロチームの中古Tシャツ集めにはまっている。