サッカー日本代表は10月14日、味の素スタジアムでの親善試合「キリンチャレンジカップ2025」でブラジル代表と対戦。3-2の逆転で強豪を相手に14回目の対戦で歴史的な初勝利を飾った。
世界ランキング19位の日本に対して、ブラジルはワールドカップ(W杯)最多優勝を誇り、世界ランキング6位。前半26分、ブラジルに鮮やかな連係で守りを崩されて先制を許し、さらにもう1点取られて、0-2で折り返し。大敗も覚悟する展開だった。
それでも日本は後半7分、前線で相手ディフェンダーに激しいプレスをかけてパスのミスを誘い、奪ったボールをMF南野拓実(ASモナコ)が冷静に決めて1点を返した。
さらに17分には、途中出場のMF伊東純也(KRCヘンク)のクロスボールをMF中村敬斗(スタッド・ランス)があわせて同点に追いついた。
そして、26分には、コーナーキックをFW上田綺世(フェイエノールト)が頭で押し込み、勝ち越しのゴールを決めて逆転に成功。このリードを日本は全員で守りきって、3-2で競り勝った。
「ここ最近勝利がなかったなかで、格上相手にホームで勝利できてうれしい。日本のサッカーの歴史にないことだったので、それを達成したいとチームのみんなが強く思っていたから勝てたと思う。ボールを持った瞬間にシュートを考えていた。反撃のきっかけになってよかった」と南野は話した。
「みんながパスをつないでくれたので感謝したい。特別な日になったし、ワールドカップのメンバー争いでアピールになった。伊東選手がボールを持ったら自分にパスをくれると常に思っているので、あとは自分が決めるだけで、うまく決められてよかった」と中村も笑顔で振り返った。
「セットプレーからいいボールがきて、決められたのでほっとしている。自分のゴールで逆転できたことはうれしい。同点で終わるのと勝ちきるのは全然違うし、みんなでギアを上げてリスクを背負っていって、その成果が出てよかった」と上田も話した。
「前半は厳しい戦いだったが、選手たちが集中力を切らさずにどう修正していくか冷静にコミュニケーションを取ってくれたことが試合をひっくり返せたことにつながった。強化試合とはいえ、ブラジルに勝つことは簡単ではない。これまでの日本代表が歴史の中でチャレンジしてきたことがきょうの結果につながった。スタッフと一丸となって結果にこだわりながら戦い抜くこと、理想と現実の中でチームとして自分たちが成長するためのトライをやめずに試合を進めることはこれからも続けていきたい」と森保一監督は勝利に酔うことなく、前を見据えた。
2026FIFAW杯北中米大会へ、価値ある白星となったこの日の劇的な逆転勝利は語り継がれることになるだろう。3得点をマークしたヒーローたち、そして、そのトレーディングカードも特別な輝きを放っていくことになる。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。ボブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。最近はトレカだけでなく、米国のリサイクルショップを回り、地元のアマ、プロチームの中古Tシャツ集めにはまっている。