(前回からの続き)
ベースボールと同じようにバスケットボールにもカードの世界があること解って、がぜん興味がわきました。日本の様な月刊誌という形態の雑誌はアメリカには存在しませんでしたが、1年間を総括するイヤーブックという形でシーズン初めに発行される雑誌が何社かありました。
「STREET & SMITH Basketball」 というものと「THE SPORTING NEWS Basketball」という2誌が代表的なもので、特に「THE SPORTING NEWS」は雑誌のほかに、NBAと提携した「NBA Official Guide」というリーグ創設以来の選手や記録の入った小冊子も出していました。当然のことですがそんな素晴らしい記録集が出ているとはつゆ知らない私は、レジェンドコーチのピート・ニューウェルさんからプレゼントして頂いた時にはビックリしました。

1番始めに手に入った「NBA Official Guide」 。これでNBAがドンドンくわしくなりました。 ジョン・ハブリチェックがドリブルをついて、デイブ・コーウェンズが速攻という写真です。後にガイド(記録)と選手名鑑が分冊となりました。(島本)
最初にそれを手にしたのは1974‐75年版でしたが毎年出ているのも知らなかったほどです。すべて英語で450ページ、天地165㎜、左右145㎜のコンパクト版でしたから、よく出来ているなぁというのは判るものの、内容を理解するのに半年くらいかかったものです。夜、ベッドに入る時に見るのですが、当時は訳が分からないので良き睡眠剤になっておりました(笑)
しかし穴のあくほど見ていると、英語でもだんだん解ってくるものです。
すべての登録選手が掲載されてはいるのですが、顔写真だけなので、どんなプレイヤーかが全く分かりません。それがハッキリ解るのが、バスケカードだったのです。
全身の写真があるし、データもあるし、選手の外見や体格も判明します。大変有用なアイテムでした。そのころは印刷もあまり鮮明ではないものの、TOPPSやFLEERなども一生懸命デザインして、大変魅力的なものに仕上がっていました。

今でも魅力的な、古き良きデザイン
今やオールドカードと言われるカテゴリーの物ですが大変魅力的で、アメリカに行った人に必ず買ってきてもらったものです。日本から行く人もカードの蒐集家ではないですから、1ボックスで買ってきてもらって、帰って来た時に一緒に「あれがない、これがない」と開けながら楽しんだものです。後に毎年アメリカに行くようになった時に不足分を買い足すようにいたしました。
そのころはまだ、日本にカードショップは存在しませんでしたから、言葉が分からないながら、ショップのお兄さんに教えて貰いつつコレクトしたものです。その時にちょっと高くはなりますが、各年のレギュラーカードのコンプリートしたモノを売っているというのも知ったのです。

島本氏は貴重なオールドセットのコンプリートセットを今でも多数所持している。
ショップも各州によって品ぞろえが異なっているので、そんな差異も教えてもらいました。好きな選手のいる州にはやはり品ぞろえが豊富なのですね。
(次回に続く)
文:島本和彦
「月刊バスケットボール」初代編集長。
NHK-BS放送でのNBAテレビ解説や、日本人記者として初となる現地でのNBA取材実施など、日本におけるNBA普及のパイオニアとして知られる。また、「能代バスケミュージアム」の設立や、全国各地の高校バスケットボール部を取材するなど、国内バスケットボール界の発展にも尽力してきた。バスケカルチャーに関わる品々の収集にも情熱を注ぎ、その膨大かつ希少なコレクションは他に類を見ない。
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