エポック社のオンデマンドカード「EPOCH-ONE」は8月22日、北海道日本ハムファイターズの伊藤大海投手の最新カードの受注をスタートした。「EPOCH-ONE」はスポーツをはじめとするヒーロー、ヒロインや名場面をいち早く記念カードにして、期間限定で発注を受け付け、発注分しか発行しない限定商品。今回の伊藤の「エポワン」は12勝目をあげた8月17日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦のワンシーンをカードにした。
伊藤はこの試合で7回を2失点に抑え、ルーキーイヤーから5年連続で規定投球回数に到達。球団では東映、日拓時代の1969-73年の金田留広に並ぶ球団タイ記録となった。記念ずべき快挙を達成した伊藤だが、このカードの表面に使われた写真がここ数年、話題になっているシーンだった。マウンドの伊藤がロジンの白い粉が舞わせているのだ。
ロジンは滑り止め剤の粉末で、それを布製の袋に詰めたものがロジンバッグである。握ったり叩いたりすることで繊維間より適量の粉末を振り出す。ロージン、ロージンバッグと呼ばれることもある。
伊藤と言えば、マウンドで大量にロジンを使用する姿が「追いロジン」とも呼ばれてきた。最近では、田中晴也投手(千葉ロッテマリーンズ)も大量のロジンの粉を飛ばし、試合中にタイムをかけられたこともある。
伊藤自身も東京五輪の準決勝で「ボールが見づらい」と韓国チームから抗議を受けたこともある。その際には「バッターはグリップにスプレーも許され、防具も着けることが出来ます。投手はグラブのみ。僕は手汗が凄く出るのでロジンを沢山触ります。万が一、滑って抜けたボールが打者に当たってしまう方がよっぽど危険でルール的にはフェアだと考えています」と自身のSNSで説明した。
NHKの人気番組「球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち~」では「ロジンバッグ」が取り上げられ、番組側から「ロジンを語るうえで絶対に外せないピッチャー」「使用量は世界トップクラス」とオファーを受けて伊藤もVTR出演。実際にロジンの使い方も披露し「あんまりやると舞っちゃうんで。一応、バッターに配慮しながら迷惑かけない程度にやってます」と解説した。
VTRの最後には自身にとってロジンバッグとは?と聞かれ「お守り的存在ではあるのかな。(ロジンがなかったら)デッドボールばっかりになっちゃうと思います」とあらためて話していた。
北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督が今季、伊藤と、同じくロジンバッグをよく使う山﨑福也投手に「控え目に使うように」と指示を出したり、粉の舞わないロジンバッグの開発を提案するなど、まだまだ、終わりそうもない「ロジンの話題」。今回、このシーンをカードの表面に使ったのはエポック社の、「エポワン」の挑戦といえるかもしれない。裏面に使われた伊藤の写真も十分にカッコいいのに、あえて、粉が舞う写真である。マウンドに舞うロジンの白い粉が美しささえ感じる、この写真を選んだ担当者にボクは拍手を送りたい。
「エポワン」【伊藤大海】今季12勝目で新人から5年連続規定投球回到達(25.8.17)はこちらから。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。ボブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。