ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平投手が6月16日、ドジャースタジアムでのサンディエゴ・パドレス戦で2シーズンぶりに投手として先発登板した。

大谷は、ロサンゼルス・エンゼルス時代の2023年9月に自身2度目となる右ひじじん帯の修復手術（トミー・ジョン手術）を受け、その後は指名打者として出場を続けながら、投手としてのリハビリを続けてきた。チームに欠かせない「打者・大谷」は通常なら行うマイナー・リーグでの調整登板なしで、試合前のライブBP（打撃練習）を重ね、本番に備えた。

当初は、7月のオールスターゲーム後にマウンドに上がる見込みも、短いイニングで投げることを前提に復帰が早まり、前日、復帰登板が電撃発表された。同じナ・リーグ西地区のライバル球団との一戦、「1番・投手」の打順も大谷本人が望んだ、という。

663日ぶりにメジャーのマウンドに上がった大谷は、1回、連続ヒットと自身の暴投で無死一、三塁のピンチを背負うと、マニー・マチャド内野手の中犠飛で先制点を許した。だが、後続はバックの好守もあり内野ゴロ2本に打ち取り、この回で降板した。28球の投球で、直球は102マイル（161.2km/h
）を計測。平均でも100マイル近い球速をマークした。

マウンドを降りた大谷は休むことなく、すぐに打席に向かう準備。チームでは初の二刀流選手の様子をデーブ・ロバーツ監督が笑顔で見守っているのが、印象的だった。

第1打席こそ、相手エースのディラン・シーズ投手にフルカウントから空振り三振に倒れたが、指名打者として出場を続けた大谷は、3回2死三塁の第2打席で左中間へ同点の適時二塁打、4回２死一、二塁の第3打席でも2打席連続の適時打を右前へ落とし、貴重な追加点をたたき出した。試合は6-3でドジャースが勝利した。

「うれしい気持ちと、いろんな方の支えがあって復帰ができたと思う。スタッフの皆さん、すべての過程で支えてくれた皆さんにとても感謝している。ここに（マウンド）戻ってこれて健康で再び投げることができた」と大谷は試合後のグラウンドでインタビューに答えた。登板内容については「結果はあまりよくなかったが、自分の中でいいイメージを持って前進できる材料がいっぱいあった。いい一日だった」とふり返った。

ロバーツ監督は試合後、復帰戦の球数の上限が30球だったと明かし「あすに疲労がどう出るかがポイントだ。今後は6日から8日間隔の登板になると思う。次は1イニングになるか2イニングになるかはまだわからない」と話し、今後は、1週間に1度のペースで登板させる方針を示した。

誰もが待っていた「二刀流」の復活。大谷の二刀流トレーディングカードは北海道日本ハムファイターズ、エンゼルス時代から数多く作られてきた。だが、ドジャース移籍後は、TOPPS社の「Road to Opening Day」などで投手としての練習する様子がカードにはなったが、二刀流カードはなかった。

打者として2安打2打点の活躍もあり、TOPPS社のオンデマンドカード「TOPPS NOW」での二刀流カードが期待されたが、残念ながら、試合後に受注がスタートしたカードは投手としての復活にスポットライトを当てたものになった。それでも、投手として完全復活へ大きな一歩を踏み出した大谷の快速球を見る限り、5イニング以上を投げ、勝利投手になるのも時間の問題。投げて打って、二刀流カードも復活するのは間違いない。

Cove（ライター）
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。ボブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター（自称）。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。