トレーディングカード界にはいくつかの都市伝説がある。都市伝説というより、コレクターによっては、ジンクスのように実際に起きている(信じられている)現象でもある。そのひとつが、「残りものには福」「ラスト1」と呼ばれるものである。
カードショップで、最後に残った1ボックスや1パックにものすごいレアカードが入っている、というもので、ボクもいい思いをしたことがある。仕事柄、トレカを購入する頻度は多いほうだが、それは必ずといった確率ではなく、たまになのだが、たまにでもそれが起きれば、信じたくなる。
9月15日に、ロサンゼルス・エンゼルスの本拠地エンゼルスタジアムで、われらがトラ兄ことマイク・トラウト外野手のボブルヘッドが来場者に配布されるということで、アナハイムに行ってきた。毎年恒例の、ボブルヘッドだけをもらうためだけの渡米で、今年は13日にドジャースタジアムでデーブ・ロバーツ監督のボブルもゲットした。
格安チケットを購入したため、帰りの便が選べず、今回は滞在が8日間になってしまった。ひとりでディズニーランドやユニバーサルスタジオに行くのもいかがなものか、ということで、トレカショップや、トレカの取り扱いが多いスーパーマーケット(というよりホームセンターに近いが)「ターゲット」を回ることにした。「ターゲット」を何店舗か回るうちに、コレクター魂をくすぐられていることに気が付いた。
「ターゲット」といえば、ブリスターボックス発祥の地である。今でこそ、ブリスターボックスはカードショップで購入できるようになったが、昔は安価なブリスターボックスがターゲット限定で販売されていた。昔は19.99ドル、29.99ドルだったブラスターボックスの価格はトレカ市場の高騰化に合わせ、現在では39.99ドルまで跳ね上がり、円安の影響もあり、かつてのように気楽に複数のボックスをショッピングカードに入れることはできない。
そこで思い出したのが「残り物には福がある」伝説である。ターゲット各店舗で売れ残っている最後のブラスターボックスにレアカードは入っているのか。試してみることにした。
レンタカーで回った店舗は15軒以上。全くブースターボックスのない(完売した)店もあれば、山のように積まれた店もあった。MLBのファクトリーセットの品揃えがいい店や、ポケモンカードをはじめとしたゲームカードのストックが多い店も。その中で、「ラスト1」だったMLBのブラスターボックスを5箱、ゲットした。もちろん、スタッフに「もうストックはないの?」と残念そうに確かめてからの購入である。
開封結果と主なレアカードは次の通りである。
【2023 TOPPS Series 2】
・ケースヒットといわれるインサート「Heavy Lumber」のフェルナンド・タティースJr.
・メモラビリア「Father`s Day」のポール・ゴールドシュミット
・ブラスター限定のパック1枚のインサート「Stars of MLB」のクローム版オスカー・ゴンザレス
【2023 TOPPS Series 2】
・メモラビリア「Father`s Day」のバイロン・バクストン
【2023 TOPPS Chrome】
・299枚限定のシリアルナンバー入りパープルパラレルのアーロン・ジャッジ
【2022 TOPPS Archives】
・ショートプリントの鈴木誠也のルーキーカード
・ショートプリントの300番台のハンク・アーロン
・99枚限定のシリアルナンバー入りシルバーパラレルのピー・ウィー・リース
【2023 PANINI Prizm】
・ブリスター限定のグリーンアイスプリズムのサミュエル・ザバラ
・インサート「The Blueprints」のイチロー(マリナーズ)
サインカード、イメージバリエーションなどのSP、SSPは出なかったが、「TOPPS Series 2」は、ケースヒットのインサート、ホビーボックスに箱イチで入っているメモラビリアがそれぞれに出現した。個人的にはそれぞれ、吉田正尚の「Stars of MLB」が出たこともうれしかった。
「TOPPS Archives」も残念ながらサインカードはなかったが、マイコレの抜け番だった鈴木誠也とハンク・アーロンのショートプリントはヒット。コンプリートしづらいブランドということもあり、ほかの抜け番は出なかった。
「Prizm」は、プリズムパラレル9枚(含むブルーアイス6枚、グリーン1枚)が出現したが、スター選手はなし。「残りものに福」はなかった。
この開封結果をどうとらえるかは、みなさん次第だが、ボクはまあまあの満足感だった。さらに、今回の実験で感じたのは、ブラスターボックスの開封って、思っていた以上に面白かった、ということ。そんな発見もあり、楽しいアナハイム滞在になった。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。